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序章への扉

2012.10.28 Sun
 最初の入り口は、どこだったのかなあ。
 記憶って、あいまいだから。
 よく、わかんなあい。

 それでも現在ここにいるってことわ、
 まぎれもなく入り口を見つけて入って、進んできたってことだし。
 どこだったのか。いつだったのか。
 
 『もうすぐ、良くなるから』
 って言葉を頼りに暗闇の中を進む時は、
 別に根拠なんかいらないし、
 信頼とか信用とか関係ない。
 これしかない。それだけの話。
 暗闇の中で、頼りにしたあの光は、
 本当に光だったかどうかも怪しいのです。
 それでも灯台は自らのためではなく航行する船のために、
 来る日も来る日もレーザー照射を続けるのです。

 
 ぽーん。



 ティーナ・カリーナの歌が聞こえるリビングルームで、
 あろっとおぶコーヒーの濃厚なる芳香に包まれながら、
 髪。
 ずいぶん、のびたわ。
 って撫でながら深呼吸するの。

 ぽーん。


 なんとなくメランコリ、あ、りる。
 コーヒーをこぼした人がカウベルを鳴らして出て行ったから、
 そろそろかしらねタイミング。
 席を立つ前にタブレットをロックして、それから制服に着替えることにします。

 繰り返される神無月のループの中で、
 たぶん彼は楽しく狩っていることでしょう。
 あの広い草原で、
 いわし雲が吸い込まれていく苔むすクレパスで、
 まさか自分が狩られるなんて夢にも思わず、狩っていることでしょう。
 
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